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論文

First-principles simulation of an ejected electron produced by monochromatic deposition energy to water at the femtosecond order

甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑; 平田 悠歩; 手塚 智哉*; 土田 秀次*; 横谷 明徳*

RSC Advances (Internet), 13(46), p.32371 - 32380, 2023/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Chemistry, Multidisciplinary)

水の光分解・放射線分解の科学的知見は、生命科学などに幅広く利用されるが、水へのエネルギー付与の結果生じる水和電子の空間分布(スパー)の形成メカニズムは未だ良く分かっていない。スパー内に生じる水和電子、OHラジカル及びH$$_{3}$$O$$^{+}$$の化学反応時間は、このスパー半径に強く依存する。我々は先行研究において、特定の付与エネルギー(12.4eV)におけるスパー形成メカニズムを第一原理計算により解明した。本研究では付与エネルギーが11-19eVにおけるスパー半径を第一原理計算した。本計算のスパー半径は3-10nmであり、付与エネルギーが8-12.4eVにおける実験予測値(~4nm)と一致し、付与エネルギーの増加に伴いその半径は徐々に拡大することがわかった。本研究で得られたスパー半径は新たな科学的知見であり、放射線DNA損傷の推定などに幅広く活用されることが期待できる。

論文

ウラン酸化物の放射線による溶解挙動の研究

熊谷 友多

放射線化学(インターネット), (115), p.43 - 49, 2023/04

ウラン酸化物の放射線による酸化と水への溶解反応に関する研究は、使用済核燃料の地層処分を背景として進められてきた。またその知見は、原子炉過酷事故で形成される燃料デブリの化学的な安定性を検討する基礎となっている。本稿ではウラン酸化物の放射線よる化学反応について既往研究についても取り上げ、受賞対象となった研究の背景や意義について紹介する。

論文

Nature of the physicochemical process in water photolysis uncovered by a computer simulation

甲斐 健師; 樋川 智洋; 鵜飼 正敏*; 藤井 健太郎*; 渡邊 立子*; 横谷 明徳*

Journal of Chemical Physics, 158(16), p.164103_1 - 164103_8, 2023/04

水の放射線分解・光分解に関する新たな科学的知見は、放射線化学・放射線生物学を含む様々な研究分野の劇的進歩に必要不可欠である。水に放射線を照射すると、その飛跡上に沿って、反応性の高い水和電子が無数に生成される。水和電子は、発生した電子と水分子の運動が動的に相関し、形成されることは知られているが、その形成に至るまでの、電子の非局在化、熱化、分極メカニズムは未だ解明していない。本研究で独自に開発したコードを利用した解析結果から、これらの過渡的現象は、水特有の水素結合ネットワークに由来する分子間振動モードと、水和を進行する水分子の回転モードの時間発展に支配されるように進行することが明らかとなった。本研究によるアプローチは、水に限らず、様々な溶媒に適用可能であり、そこから得られる科学的知見は、放射線生物影響、原子力化学、放射線計測など幅広い研究領域へ適用されることが期待できる。

論文

Initial yield of hydrated electron production from water radiolysis based on first-principles calculation

甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑*; 平田 悠歩; 手塚 智哉*; 土田 秀次*; 横谷 明徳*

RSC Advances (Internet), 13(11), p.7076 - 7086, 2023/03

 被引用回数:3 パーセンタイル:81.33(Chemistry, Multidisciplinary)

水の放射線分解に関する科学的知見は、生命科学などに幅広く利用されるが、水の分解生成物であるラジカルの生成メカニズムは未だ良く分かっていない。我々は、放射線物理の観点から、この生成メカニズムを解く計算コードの開発に挑戦し、第一原理計算により、水中の二次電子挙動は、水との衝突効果のみならず分極効果にも支配されることを明らかにした。さらに、二次電子の空間分布をもとに、電離と電子励起の割合を予測した結果、水和電子の初期収量の予測値は、放射線化学の観点から予測された初期収量を再現することに成功した。この結果は、開発した計算コードが放射線物理から放射線化学への合理的な時空間接続を実現できることを示している。本研究成果は、水の放射線分解の最初期過程を理解するための新たな科学的知見になることが期待できる。

論文

Uranium dissolution and uranyl peroxide formation by immersion of simulated fuel debris in aqueous H$$_{2}$$O$$_{2}$$ solution

熊谷 友多; 日下 良二; 中田 正美; 渡邉 雅之; 秋山 大輔*; 桐島 陽*; 佐藤 修彰*; 佐々木 隆之*

Journal of Nuclear Science and Technology, 59(8), p.961 - 971, 2022/08

 被引用回数:2 パーセンタイル:53.91(Nuclear Science & Technology)

東京電力福島第一原子力発電所事故では核燃料と被覆管,構造材料が高温で反応し、燃料デブリが形成されたと考えられる。この燃料デブリが水の放射線分解の影響により経年変化する可能性を調べるため、模擬燃料デブリを用いて過酸化水素水溶液への浸漬試験を行った。その結果、過酸化水素の反応により、ウランが溶出し、ウラニル過酸化物が析出することが分かった。また、模擬燃料デブリ試料のうちウランとジルコニウムの酸化物固溶体を主成分とする試料では、他の試料と比較してウランの溶出は遅く、ウラニル過酸化物の析出も観測されなかった。この結果から、ウランとジルコニウムの酸化物固溶体は過酸化水素に対して安定性が高いことを明らかにした。

論文

Radiation chemistry provides nanoscopic insights into the role of intermediate phases in CeO$$_{2}$$ mesocrystal formation

Li, Z.*; Piankova, D.*; Yang, Y.*; 熊谷 友多; Zschiesche, H.*; Jonsson, M.*; Tarakina, N. V.*; Soroka, I. L.*

Angewandte Chemie; International Edition, 61(6), p.e202112204_1 - e202112204_9, 2022/02

 被引用回数:4 パーセンタイル:30.82(Chemistry, Multidisciplinary)

Ce(III)水溶液の放射線誘起酸化反応によるCeO$$_{2}$$形成過程を研究した。Ce(III)はガンマ線照射による水の放射線分解で生じるOHラジカルによりCe(IV)に酸化され、水に対する溶解度が減少するため析出し、最終的にはCeO$$_{2}$$が生成する。この反応過程を透過型電子顕微鏡観察とX線結晶構造解析を用いて調べた。その結果、ガンマ線照射によって生成するCeO$$_{2}$$は、いくつかの中間的な状態を経てメソ結晶体を形成することを明らかにした。水溶液中でCe(III)が酸化されると、CeO$$_{2}$$析出の前駆体としてアモルファスなCe(IV)水酸化物が生成する。その後、Ce(IV)水酸化物中でCeO$$_{2}$$のナノ粒子が成長する。このCeO$$_{2}$$ナノ粒子はアモルファス組織の中でゆっくりと配向性を有するようになり、ナノ粒子間の相互作用により規則的な構造を形成したメソ結晶体となる。さらに、このメソ結晶体を徐々に乾燥させることでメソ結晶体がさらに構造化した超結晶(supracrystal)となり、複雑な階層化アーキテクチャが形成されることを明らかにした。

論文

Zeolite-assisted radiolysis of aromatic chlorides mitigating influence of coexisting ions in water matrix

熊谷 友多; 木村 敦*; 田口 光正*; 渡邉 雅之

Radiation Physics and Chemistry, 191, p.109831_1 - 109831_8, 2022/02

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Physical)

本研究では、疎水性ゼオライトによる吸着を併用することで、放射線による水中有機物の分解処理の高効率化を試みた。水中有機物の放射線分解処理では、水分解に由来するラジカルの反応を利用するが、それらのラジカルと反応する夾雑イオンが存在すると分解処理の効率が低下するという課題がある。そこで、吸着処理を併用することで夾雑イオンの影響を低減する方法について研究した。組成におけるSi/Al比が高く、疎水性を呈するモルデナイト型ゼオライト(HMOR)を吸着材として利用したところ、HMORに吸着する2-chlorophenolおよび2-chloroanilineの分解反応は、夾雑イオンの存在下でも高い反応効率で進行した。一方で、HMORにほとんど吸着しない2-chlorobenzoic acidの分解反応では、HMORによる吸着処理併用に有意な効果は認められなかった。これらの結果から、吸着によってゼオライト細孔内に有機物を濃縮し、水中の夾雑イオンと空間的に分離することで、放射線による分解反応を促進できることが分かった。

論文

福島第一原子力発電所の廃止措置を安全に進めるうえで考慮すべきラジオリシスの影響

端 邦樹

材料と環境, 70(12), p.468 - 473, 2021/12

東京電力福島第一原子力発電所の汚染水中の腐食環境の評価においては、建屋内が放射線環境下にあるため、水の放射線分解(ラジオリシス)により生成する過酸化水素(H$$_{2}$$O$$_{2}$$)等の酸化剤の影響を考慮する必要がある。ラジオリシス過程及びそれにより発生する酸化剤の生成量は水質や放射線の線質などに依って変化する。そのため、この10年間、水の放射線分解に寄与しうる様々な要因(海水成分、酸化物の表面の作用、$$alpha$$核種等)を対象に研究が進められてきた。本稿では、汚染水中の腐食環境のより深い理解に繋げるため、これらの要因のラジオリシス影響について解説する。

論文

HONTAと硝酸の水和錯体の光電子分光実験

宮崎 康典; 足立 純一*; 益田 遼太郎*; 下條 竜夫*; 星野 正光*

Photon Factory Activity Report 2021 (インターネット), 2 Pages, 2021/00

放射性廃棄物の減容化及び有害度低減の観点から、ガラス固化前の再処理高レベル放射性廃液からマイナーアクチノイド(MA; Am, Cm)を分離回収し、高速炉や加速器駆動システムによって、安定核種や短寿命核種に変換する「分離変換」の研究・技術開発を行っている。MA分離技術では、N,N,N',N', N",N"-hexaoctylnitrilotriacetamide(以降「HONTA」という。)に注目したプロセスを検討しているが、放射線分解に係る課題(e.g.放射線分解生成物の除去や使用済抽出剤の再利用等)が多く残されている。本研究では、硝酸とのコンディショニングによる水和錯体が抽出剤の放射線分解を阻害する効果を明らかにするため、有機相に形成する[(HONTA)(HNO$$_{3}$$)(H$$_{2}$$O)n]の光電子分光実験を行い、スペクトルパターンを取得した。また、量子化学計算で構造最適化したHMNTA + HNO$$_{3}$$の状態密度スペクトルと比較し、分子軌道から、HNO$$_{3}$$付加による影響を考察した。

論文

$$gamma$$-radiation and H$$_{2}$$O$$_{2}$$ induced oxidative dissolution of uranium(IV) oxide in aqueous solution containing phthalic acid

熊谷 友多; Jonsson, M.*

Dalton Transactions (Internet), 49(6), p.1907 - 1914, 2020/02

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

使用済核燃料を直接地層処分した場合には、放射線に起因する化学反応によって使用済核燃料の母材である二酸化ウランが6価ウランに酸化され、その結果ウラニルイオンとして水に溶け出す。この溶解反応の速度は地下水成分に影響される。深地層環境においても地下水には有機物が含まれることから、二酸化ウランへの吸着が考えられる有機酸の影響を研究した。本研究では、フタル酸を用いて二酸化ウランへの吸着挙動を調べ、フタル酸が吸着した二酸化ウランの溶解挙動を調べた。その結果、フタル酸は二酸化ウランに強く吸着されるが、放射線の模擬として過酸化水素を用いた反応では、ウランの溶解挙動は炭酸塩水溶液と同等であった。この結果から、吸着フタル酸は二酸化ウランの表面で生じる酸化還元反応にはほとんど影響を与えないことが分かった。一方で、放射線照射による二酸化ウランの溶解反応は、フタル酸水溶液中では抑制された。この結果から、水の放射線分解で生じるラジカル種は水溶液中でフタル酸と反応し、二酸化ウランの酸化が進みにくくなることが示唆される。

論文

A Simulation of radiolysis of chloride solutions containing ferrous ion

端 邦樹; 井上 博之*

Journal of Nuclear Science and Technology, 56(9-10), p.842 - 850, 2019/09

 被引用回数:1 パーセンタイル:11.15(Nuclear Science & Technology)

希釈海水等の少量の塩分を含む水溶液中での鉄鋼材料の照射下腐食現象において、材料由来の成分がラジオリシスに及ぼす影響を評価するため、Cl$$^{-}$$イオンとFe$$^{2+}$$イオンが共存する系での水溶液の放射線分解シミュレーションを実施した。主要な水の放射線分解生成物であるH$$_{2}$$O$$_{2}$$, O$$_{2}$$, H$$_{2}$$はFe$$^{2+}$$イオンの存在により増加した。また、Cl$$^{-}$$イオンとFe$$^{2+}$$イオンが共存する系では、これら水分解生成物の発生量がさらに増加した。これは、Fe$$^{2+}$$イオンがOHラジカルにより酸化されて生じたFe$$^{3+}$$イオンが、水分子と反応して水酸化物となる際にプロトンを放出し、水溶液が酸性化するためであると考えられた。一方、鉄鋼材料の腐食に対しては、Fe$$^{2+}$$やCl$$^{-}$$の反応に由来するH$$_{2}$$O$$_{2}$$やO$$_{2}$$の効果より、FeOOHによる鉄の溶解等の別のプロセスが主に影響を与えているものと推察された。

論文

Impact of stoichiometry on the mechanism and kinetics of oxidative dissolution of UO$$_{2}$$ induced by H$$_{2}$$O$$_{2}$$ and $$gamma$$-irradiation

熊谷 友多; Fidalgo, A. B.*; Jonsson, M.*

Journal of Physical Chemistry C, 123(15), p.9919 - 9925, 2019/04

 被引用回数:19 パーセンタイル:62.54(Chemistry, Physical)

ウランの酸化還元による化学的な変化は環境中のウランの動態を支配する重要な反応であり、特に4価の二酸化ウランが6価のウラニルイオンに酸化され水に溶けだす反応は使用済燃料等の環境中における化学的な安定性を評価する上で重要な反応である。この酸化による二酸化ウランの水への溶出について、二酸化ウランの過定比性の影響を調べるため、過酸化水素および$$gamma$$線照射による反応を調べ、定比のUO$$_{2.0}$$と過定比のUO$$_{2.3}$$との間で反応挙動を比較した。その結果、定比のUO$$_{2.0}$$は酸化還元反応に高い活性を示し、表面の酸化反応は速やかに進み、酸化反応の進展とともに徐々にウランの溶出が加速されることが観測された。一方で、過定比のUO$$_{2.3}$$は反応性は低いものの、酸化反応が生じると速やかにウランが溶出することが分かった。また、過酸化水素による反応と$$gamma$$線照射による反応を比較した結果、ウランの溶出ダイナミクスは酸化剤の濃度に依存して変化することが分かった。そのため、使用済燃料等で想定される放射線による酸化反応を検討する場合、高濃度の酸化剤を用いた試験では、ウランの溶出反応を過小評価する可能性があることを明らかにした。

論文

Reaction between spin-correlated triplet positronium and OH radical in water

平出 哲也

JPS Conference Proceedings (Internet), 25, p.011022_1 - 011022_3, 2019/03

水中では放射線分解で反応性の大きいOHラジカルが形成する。OHラジカルの挙動は材料の腐食や生体中の反応において重要である。最近、陽電子を入射した際に陽電子トラックの末端で形成されるOHラジカルと、OHラジカル形成とともに形成した過剰電子が熱化陽電子と反応することで形成されたポジトロニウム(Ps)の間で起こる反応に、スピン相関により量子ビートが起こることを報告した。この量子ビートはOHラジカルの超微細結合定数に依存した周期をもっていると考えられる。量子ビートの周期と強さが温度に依存すると考えられ、これらの変化はOHラジカルの周囲の状態を反映していると考えられる。このスピン相関のあるOHラジカルと三重項ポジトロニウムの反応により検出される量子ビートの温度依存性から、液体構造についてどのような研究が可能になるか解説する。

論文

The Role of surface-bound hydroxyl radicals in the reaction between H$$_{2}$$O$$_{2}$$ and UO$$_{2}$$

Fidalgo, A. B.*; 熊谷 友多; Jonsson, M.*

Journal of Coordination Chemistry, 71(11-13), p.1799 - 1807, 2018/07

 被引用回数:29 パーセンタイル:88.5(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

二酸化ウランは水中では表面から酸化され、徐々に溶出する。放射線環境下では、水の放射線分解で生じる過酸化水素が二酸化ウランを速やかに酸化するため、溶出が促進される。この過酸化水素による二酸化ウランの酸化反応においては、過酸化水素がウランを酸化せずに分解する副反応が生じることが知られていたが、その反応スキームは分かっていなかった。そこで、この二酸化ウランと過酸化水素の反応について、ウランが酸化された後に速やかに溶出する溶液条件において、過酸化水素濃度に対する依存性を調べた。その結果、過酸化水素の濃度が高くなるにつれて、反応速度定数が下がり、ウランの溶出収率も低くなることが観測された。これは、表面に反応中間体が蓄積され、反応が阻害されたことを示唆する。本研究で用いたウランの溶出が促進される溶液条件では、酸化されたウランが表面に蓄積されることは考えにくいことから、この反応挙動の変化は表面ヒドロキシルラジカルの蓄積による現象であると推定した。

論文

Investigation of hydrogen gas generation by radiolysis for cement-solidified products of used adsorbents for water decontamination

佐藤 淳也; 菊地 博*; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 松島 怜達; 佐藤 史紀; 小島 順二; 中澤 修

QST-M-8; QST Takasaki Annual Report 2016, P. 62, 2018/03

福島第一原子力発電所における多核種除去設備から発生している廃吸着材は、多量の放射性核種を含有しており、処分のために発生した固化体への放射線影響が懸念されている。本件は、廃吸着材の模擬物をセメント固化した試料において放射線分解によって発生する水素ガス量の調査を目的として実施した。チタン酸塩, 酸化チタン, フェロシアン化物, キレート樹脂及び樹脂系吸着材を対象として、セメント固化材(普通ポルトランドセメント及び高炉スラグセメント)を用いて固化試料を作製した。量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所のコバルト照射施設を利用して$$gamma$$線の照射試験を行い、セメント固化試料からの水素ガス発生を調査した。試験の結果、セメント固化試料から発生した水素ガス量を求め、水素ガス発生のG値を算出することができた。

論文

Treatment of pharmaceuticals/antibiotics in wastewater by combination of zeolite adsorbent with ionizing radiation

田口 光正*; 熊谷 友多; 木村 敦*

IAEA-TECDOC-1855, p.106 - 116, 2018/00

廃水中の微量医薬品成分や抗生物質を分解除去する技術として、ゼオライト吸着材と放射線を組み合わせた方法を開発した。ゼオライト吸着材には組成のシリカ成分を高めることで疎水化したHMORというゼオライトを用いた。2-chlorophenol(2-ClPh)をモデル分子としてHMORの吸着性能を調べた結果、希薄水溶液からの吸着では99%以上の除去率が観測された。また、2-ClPhをHMORに吸着した状態で照射することで、水溶液の照射に比べて分解が促進され、水溶液を10倍濃縮する場合と同等の効果があることが分かった。さらに、医薬品成分の分解への適用性を検証するため、クロフィブラート(高脂質血症治療剤)、トリクロサン(抗菌剤)の分解について照射試験を行った。これらの医薬品成分は塩素を含むため、分解の指標として照射による塩化物イオンの生成量を測定した結果、HMORの併用によって分解効率がおよそ2倍に向上することが分かった。

論文

最新放射線化学(応用編),16; 計算機シミュレーションによる放射線生物作用の初期過程の研究

渡邊 立子*; 甲斐 健師; 服部 佑哉*

Radioisotopes, 66(11), p.525 - 530, 2017/11

放射線による生物影響のメカニズムの解明には、モデルやシミュレーションを用いた研究は重要な役割を持つ。特に、生物影響メカニズムに関するモデル化や、DNA分子と細胞のような生体の異なる空間スケールから得られた実験データの関係を評価するためにはミュレーションは有効な手段である。本稿では、DNAと細胞への放射線影響のシミュレーションによる研究の概要について述べる。この中で、従来のDNA損傷推定法に加えDNA損傷生成に関わる物理化学過程の詳細を推定する新たな理論的アプローチと、DNA損傷と細胞応答のダイナミクスを推定する数理モデルも紹介する。

論文

最新放射線化学(応用編),26; シビアアクシデント後対策のための水の放射線分解研究の展開

永石 隆二

Radioisotopes, 66(11), p.601 - 610, 2017/11

冷却水喪失事故を代表とするシビアアクシデント(過酷事故)において水の放射線分解は事故時及びその後の廃止措置、廃棄物処理・処分等で、爆発源となる水素の発生、並びに腐食等の接水材料の劣化の要因となる。さらに、福島第一原子力発電所(1F)事故では平常時には到底考えられない海水が投入されたことで、これらの現象がより複雑となった。本記事では特集「最新放射線化学」の応用編において原子力に関連した放射線化学の最新の成果として、1F事故以降進めてきた研究について、海水塩分、固体共存、工学的条件をキーワードに紹介・解説する。

論文

Radiolysis of mixed solutions of Cl$$^{-}$$ and Br$$^{-}$$ and its effect on corrosion of a low-alloy steel

端 邦樹; 井上 博之*; 小嶋 崇夫*; 笠原 茂樹; 塙 悟史; 上野 文義; 塚田 隆; 岩瀬 彰宏*

Proceedings of Symposium on Water Chemistry and Corrosion in Nuclear Power Plants in Asia 2017 (AWC 2017) (USB Flash Drive), p.304 - 314, 2017/09

NaClとNaBrの混合水溶液についてラジオリシス計算を実施し、過酸化水素生成量についてこれまでの$$gamma$$線照射実験結果との比較を行った。計算結果は実験結果をほぼ再現したが、高純度NaCl水溶液に対しては酸性条件で過小評価される傾向にあった。各化学反応に対する感度解析を実施したところ、塩化物イオン(Cl$$^{-}$$)とOHラジカル($$^{.}$$OH)との反応の初期の3反応(Cl$$^{-}$$ + $$^{.}$$OH $$rightarrow$$ ClOH$$^{.-}$$、ClOH$$^{.-}$$ $$rightarrow$$ Cl$$^{-}$$ + $$^{.}$$OH、ClOH$$^{.-}$$ + H$$^{+}$$ $$rightarrow$$ Cl$$^{.}$$ + H$$_{2}$$O)の速度定数の変化によって過酸化水素量は大きく変化した。本結果はこれらの化学反応の速度定数の正確な評価が海水のようなNaClを含む水溶液のラジオリシス計算の信頼性向上に重要であることを示している。さらに低合金鋼SQV2Aを用いた$$gamma$$線照射下浸漬試験も実施し、NaClやNaBrが鋼材の照射下腐食に与える影響について調べた。基本的には腐食速度の変化は過酸化水素発生量の変化に追随したが、アルカリ性条件ではpH11付近で腐食速度が極大値をとり、12以上では高い過酸化水素濃度であるのに腐食がほとんど進行しなくなった。これは不働態皮膜が形成しているためであると考えられた。

論文

Hydrogen production by $$gamma$$-ray irradiation from different types of zeolites in aqueous solution

熊谷 友多; 木村 敦*; 田口 光正*; 渡邉 雅之

Journal of Physical Chemistry C, 121(34), p.18525 - 18533, 2017/08

 被引用回数:7 パーセンタイル:26.48(Chemistry, Physical)

水の放射線分解による水素発生に対するゼオライトの影響を理解するため、水とゼオライトとの混合物の$$gamma$$線照射による水素発生を研究した。構造および組成の異なる4種類のゼオライトについて種々の含水率の試料を調製し、脱気条件および空気溶存条件にて水素発生を比較した。脱気条件下では、組成に占めるアルミニウムの比率が高いゼオライトを用いた場合に、特に低含水率で高い水素発生量を観測した。水素発生量とゼオライトの化学分析との比較から、ゼオライトに含まれる骨格外アルミニウムが水素発生量を増加させることが示唆された。一方、空気溶存条件かつ高含水率の場合には、水の放射線分解により過酸化水素が生成するため水素発生量の低下が観測された。この水素発生量の低下はアルミニウム含有率の高いゼオライトで顕著であり、その結果4種のゼオライトからの水素発生量は同程度となった。構造および組成の異なるゼオライトで同等の水素発生が観測された結果から、骨格外アルミニウムの関与する反応とは別に、ゼオライトの影響を受けにくい水素発生反応過程が存在すると考えられる。

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